「突然の別れ」
『別れというものは突然やってくるものである』
と昔からよく聞いた。
それはもう何回も何回も
『大切な人を突然亡くした』と内容は違えど
それはどれも悲しくて辛い内容で、
皆いつかは亡くなってしまうのだから
今を大切にしなくてはならないとも聞いた。
亡くなってしまってからでは遅いのだから
話しをする事も、姿を見る事も、その温もりも
全部全部、記憶や物を通じて思い出して感じることしか出来なくなるのだからと。
それに私は大いに共感して心を打たれた。
自分は大切にしていかないと、この人達の教訓を無駄にしてはいけないと強くそう思うと同時に
それはまるで鎖のように私を縛っていった。
人はいつなく無くなるか分からない
だから今を大事に、最高の瞬間に
いつ亡くなってもいいようにと
それはもう狂った様に
喧嘩してはいけない、怒ってもすぐに仲直り
なるべく怒らない、相手を傷つけてはならない
だって明日死んでしまうかもしれないから
『人はいつ死ぬか分からない』のだから
今を大事に、大切に、見えない陶器を割らんとする様に、いつくるかも分からない大切な人の死に私は縛られていった。
そうしているうちに気づいた。
確かに今を大事にする事は大切だが、
それに囚われすぎるのもいけないのだと。
突然別れがやってくる事を頭の片隅に置く事は大事だが、それに囚われ過ぎていてはいつまでたっても前に進めないのだと。何故ならそれは本当の自分では無いから。どんな瞬間に別れが来ても
そこに居るのが本当の自分である事が1番大切なのだと。
そう気づいた時には、もう遅かった。
5/19/2022, 12:57:57 PM