案山子のあぶく

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◎はなればなれ

2人のスイは1人のサンといつも一緒。
遠い遠い昔に仲良くなってからずっと一緒。

岩に囲まれた場所を潜り抜けたり、皆でぎゅっと固まっていたこともあった。
今度は金属の管を通り抜けて透明な壁に取り囲まれた場所へたどり着いた。

3人は手を離さずに周りを見渡した。

「ここはどこ?」
「わからないよ」
「離れちゃいけないよ」

3人は互いに微笑みあった。
暫くすると、3人の足元がじわじわと熱くなり始めた。
そして、我慢できなくなった3人はぴょんと飛び上がった。

「熱い!」
「痛い!」
「あちちっ!」

そして一際大きく跳ねたとき、2人のスイと1人のサンの手がぱっと離れてしまった。

「「「あっ!」」」

「離れちゃった!」

「どこにとんでいっちゃうの!」

「いっちゃ、やだよ!」

空中で2人のスイは手をつなぐことに成功したが、サンはどんどん遠ざかって行く。
手を伸ばしても届かない。

そして、真っ赤な光の中へとサンが吸い込まれたときパチンと大きな音が鳴った。

微かに見えたのはサンがその勢いで更に遠くへ飛ばされた姿だったが、それもすぐに見えなくなった。

「いっちゃった……」
「次に会えるのはいつかな」
「何億年も先かも知れないね」
「待つ?」
「待とう」

2人のスイはもう二度と離すまいと互いの手を固く握った。

11/17/2024, 9:37:41 AM