まるで人がいなくなったかのような、静か過ぎる深夜の住宅街。
家の灯りは当然点いておらず、街灯しか灯っていない。
ふう……今日も残業で疲れた。
帰ったら、ゆっくり湯船に浸かろう。
帰宅後のことを考えながら歩いていると、あっという間に我が家に到着。
我が家だけ、灯りが点いている。
「ただいまー」
「おかえり〜。今日もお疲れさま」
家の中に入ると、すぐに妻が出迎えてくれた。
帰りが遅くても、こうして出迎えてくれると心が温かくなる。
でも、遅い時間まで俺を待っている妻に申し訳なく思う。
「俺が帰ってくるのを待たずに寝てくれたらいいのに」
そう言うと、妻は「ふふっ」と微笑む。
「帰ってきて誰かが出迎えてくれたら嬉しいでしょ?」
「あ、ああ……そうだな……嬉しい」
「あなたがそう思ってくれてるから、私は苦じゃないよ」
うーむ……可愛いじゃないか。
そう言われると、早く寝ろと言えなくなる。
「それに、家の灯りは消さずに点けておきたいからね」
「どうしてだ?」
「家が暗いと気持ちも暗くなっちゃうでしょ?だから明るくしておきたいの」
確かに、妻の言う通り、家が明るいと気持ちがほっとする。
待ってくれている妻に感謝しないとな。
「そっか……いつもありがとな」
「あなたもいつも遅くまで仕事お疲れさま」
妻からも感謝され、更に心が温かくなる。
家の灯りが点いているか点いていないかの違いで、こんなにも違うのだと、改めて思った。
12/6/2025, 11:53:31 PM