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 乾いた冷たい風が吹くようになると、木はめっきり色を失くす。柿の実にぶどう、無の知れぬ赤い実だって、すっかり食い尽くされてしまうし、赤や橙の葉っぱも我先にと落っこちてしまう。
 こうなると、狙い目は地面だ。温かい落ち葉の裏には、虫などの小さな生き物が案外潜んでいるものだ。
 ツグミは、その落ち葉の裏に息づく世界を、よく知っている。秋になると北から渡ってくるこの鳥は、地面を駆けわまっては、せっせと落ち葉をひっくり返す。ひっくり返しては、ムカデやテントウムシといった生き物を食べる。
 今日も、我が家の庭の隅では、ガサガサと忙しなく落ち葉を返す音がする。大して広くもない庭に、それほど小さな生き物がいるとは思えないが、食べ物が乏しい冬においては、貴重な餌場なのだろう。
 がさがさ、がさがさ。このツグミの音を聞くと、冬になったとしみじみ思うのだった。

11/25/2025, 12:04:46 PM