たーくん。

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女性客が多いカフェ店内。
下心でバイトに応募したら、受かってしまった。
だが、覚えることが多いし、忙しいから女性客と話す暇がない。
「頑張ってるわねぇ☆偉いわよぉ♪」
無精髭で真っ赤な口紅を塗っているオネェ店長が、俺を褒めてくれた。
「新人君、このカフェはね、愛と平和をモットーにしているの」
「愛と平和ですか」
「そうよ。私達はお客さん達に愛を届けるのっ」
店長は両手でハートを作り、ウィンクする。
「ほら、新人君もやってやって」
「こ、こうですか?」
店長のハートを真似たが、ぎこちないハートしか出来ない。
「ふふ、まだまだね。大丈夫、すぐ出来るわよ」
「は、はい。頑張ります。あと、平和というのはなんですか?」
「たまにね、カフェの平和を乱す奴がいるの。まぁ、そんな奴がいたら……ただじゃおかねぇ」
店長は目検にシワを寄せながら、低い声で言った。
……店長を怒らせないほうがいいみたいだ。
「わ、分かりました。そんな客がいたら注意します」
「偉いわぁ♪見かけによらず男らしいのね。そんな子が私は好きよっ☆」
店長は少し距離を詰めながら俺に言った。
……あまり店長の機嫌を良くしないほうがいいな。
愛と平和をモットーにしているバイト先のカフェ。
忙しいけど、働きやすくて、あまりストレスを感じない良いカフェだった。

3/10/2026, 10:07:07 PM