落ち着く。…ここは何処だろう?白い。明るい。嫌…暗いのか?情報が何も無い。入ってこない。音も無い。匂いも。まるで五感が全て麻痺したのかのような、そんな感覚。
壁は?無い。ならば、野外?でもこんな場所は日本、嫌世界には無い。無いはずだ。
まず、歩いてみる。何かが見えてくるかもしれない。誰かが居るかもしれない。歩く。歩く。歩く。アルク、アルク…。歩いているのか?進んでいるのか?どうして、こうなったのだろう?物好きの大金持ちにでも攫われたのか?それともここは、死の世界?昨日は、何事もなく寝たはず。では孤独死か。自分らしいさ。これも又、運命…。
くだらないことを考える。考えていないと落ち着かない。少しでも情報が欲しいのだ。情報を求む。
「誰かー、いませんかぁー?」
「だーれーかー。」
「…………阿呆らしい。」
何も無い。只酸素を吸って二酸化炭素を出しているだけ。只、生きているだけ。存在しているだけなのだ。
「死んだのか?一番現実的なのは…俺は死んだんだろ?天国行きなら天使でも来いよ。来ないんなら地獄か?なら悪魔でも来いよ。閻魔でも舌取りに来いや。」
れーっと舌をさらけ出し、ついに倒れ込んで大きな独り言を漏らす。
「風変わりのニンゲンモニタリングかよ。カメラもっとこっち寄れよ。見れえねえだろ?見えてねぇだろ。」
「……………誰か〜……。チッ…。」
「ああああああああぁああああああああぁ」
ふらふら立ち上がって脱力した腕を宙に投げ出す。
「た!ひゃ!は!や!ろ!な!みぃーやっはっはぁー!」
叫ぶ。叫ぶ。音を出せ。とにかく大きな音を。もっと。もっと…!もっと!!
しろーい。まっしろぉーい。ひろ〜いせかいに。えーえんにぃ?グッドバイ!
9/29/2024, 10:44:59 AM