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ふっと意識が浮上する。ごつごつとした感触。
ホーホーホッホーと鳴く声がやけに鮮明に聞こえる。

そこでよくやく、キャンプに来ていたことを思い出した。

寝袋から出る。銀マットがパリパリと音を立てた。

ジジジとテントを開け、サンダルを履き、外に出る。
ひんやりとした空気が僕を包んだ。

大きく伸びをして、椅子を出す。

このキャンプ場にもこれらのキャンプ道具にも
彼の記憶がついて回る。

やっぱり新しい趣味を見つけるしかないのかも。

タープからぽとりと朝露が落ちた。

「帰りたくもないなぁ」

チクタクチクタクと等間隔で刻む音。胸を掻きむしりたくなるような訳のわからない焦燥感。
隣家の水道の音
遠くで鳴く犬の声
バイクの音

2人の時は耳を澄まさないと聞こえなかった音が1人の部屋にはよく響く。

そこまで考えて
はぁと大きく息を吐き出した。


                   (テーマ:耳を澄ますと)

5/5/2024, 5:10:21 AM