夕方のラッシュ、ぎゅうぎゅう詰めの息苦しい車内で。
お気に入りの音楽で耳を塞ぎ、ドア横の手摺に凭れかかる。
寝過ごしてしまわないように、窓の外をゆっくり流れていくビル群を欠伸を噛み殺しつつ、ぼんやりと眺めた。
降りる駅まで、あと五駅。
いつもなら夕飯の支度をしているような時間。
だけど今日は少しだけ寄り道、職場の近くにあるショッピングモールを、特に用もなくぶらぶら。
お店に並ぶ美味しそうな惣菜を、ついつい買ってしまいそうになるが我慢した。
君の作った夕飯が待っているから。
ぎゅうぎゅう詰めの車内、キュウ……、と腹が小さく鳴った。
今ごろ夕飯作りにアタフタしているであろう君の姿を思い浮かべながら、空腹を訴える腹を宥めるように撫でた。
テーマ「列車に乗って」
2/29/2024, 5:19:00 PM