Chelsea

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追っかけてくる。
子供が、私を。


5歳の息子が毎日、私の後をついて歩いている。
後追いにしては少し遅い気がするが、今まで後追いされた記憶があまりないので、彼にとっては今がその時期だろうか。

と考えて、それは当然だなと思い至る。
息子が赤ちゃんだったとき、私は夫との関係が悪く、精神を病んでいた。
一番ひどい時期は育児もまともに出来ず、息子に笑いかけることも少なかった。

後を追っても、構ってくれない母だったことだろう。
後追いされた記憶がなくて当然だ。
一番後を追いたい時期に、追えなくしてしまっていた私のせいだ。


夫と離れ、私の心が回復して、やっと息子に愛を思い切り伝えられるようになったとき、息子はそれを激しく拒否した。

息子にとっては起こるべくして起きた、自然な混乱状態だったと思う。

数年の間、今度は私が息子を追っていた。
親として再び自然に信頼してもらえるように、考えつくあらゆる方法を試してもがいていた。
息子への申し訳なさで、日々押しつぶされそうだった。


そして今。
息子が楽しそうに私の背中を追いかける。
そんな息子が目に入るたび、笑顔で力いっぱい抱きとめるのだ。

母になるのが遅すぎた私と、それを受け入れてくれた息子。
幼い彼との悲しいすれ違いは、ようやく終わった。

10/19/2024, 1:46:52 PM