谷間のクマ

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《風のいたずら》
 ひらり。
 真冬のある日の学校帰り。真冬の冷たい風が、私、熊山明里のブレザーの制服のスカートを靡かせた。
「まーったく寒いわねー、最近」
「なあーにが寒いだねー、だ。スカート、捲れてるぞ」
 そう冷えた声で諭すのは黒髪で背が高く、整った顔立ちの美丈夫。私の彼氏、齋藤蒼戒だ。
「え、嘘」
「嘘言ってどうする」
「もー、嘘じゃないのはわかってるからあんた風除けになってよ。今日風が強いからスカート捲れちゃう」
「まったく仕方ない……」
 となんだかんだ言いつつも風上に立ってくれる蒼戒。さすがだねぇ。
「風のいたずら、ってやつかしらねぇ……」
「人を風除けにして言うセリフじゃないぞ、それ」
「はいはい。ありがとねー」
 というわけで私は蒼戒を風除けにしながら家路を急いだ。
(終わり)

※明里×蒼戒 未来if

2025.1.17《風のいたずら》

1/17/2025, 5:10:30 PM