霜月はつか

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 なんで私を裏切ったの?
 おかしいよ。世界で一番愛してるって言ったのは誰?一生一緒って言ったのは誰?
『お前だけ』って言ったのは誰?

「ねえ、おいていかないでよ…」

 初めてのデートで行った場所で見かけた彼は、いつもよりお洒落で、隣を歩く女性は私とは真逆で、ロングヘアのスタイル抜群で、綺麗めな年上のお姉さん。
 自然と目にボヤがかかる。
 あれ、頬が冷たい。地面が水滴で濡れる。
 私は、彼に近づく。

「ゆうまくん。」
「?!つ、つむぎ…」
「ちょっとゆうま?この女だれ?」
「えっと…」

 なんで…
 私は、自分の首につけられていたネックレスを取り、彼女さんにさしだす。

「な、なにこれ」
「私という存在の証です。」
「は、はあ?」
「気にいると思いますよ。だって、ゆうまくんとおそろいですから。」
「、ッ!ちょっとゆうま!どういうこと、?!」
「つ、つむ…」

 私は、ゆうまくんに近付こうとする彼女さんの背中を押す。
「わっ!」
 彼女さんは、ゆうまくんの胸におさまる。

「他の女の匂いをつけてちゃだめだよ?」
 そう言って私は立ち去った。

「私じゃ…なかったんだなッ」
 そう言ったら、涙が止まらなかった。
 涙をふく気力もなく、私は歩き続ける。
 行き先は、私のおうち。


 早く、シャワーを浴びて、彼と同じ匂いの香水を取らなくちゃ。



「ゆうまくん、ばいばい」
 涙は、星のように流れていった。

2/6/2024, 10:49:46 AM