暁星

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もう何度目だろう、数えるのは止めてしまった。


私は、この世界のバランスを保つ駒であるらしい。しかし、他の存在には出会ったことがないので、真実なのかわからない。

何故なら、歪みがでたときだけ、剪定者と名乗る人物から、私は本を渡される。その本は厚さがまちまちだが、指示されることは同じ。ただ、本を読み、その本の主人公の人生をなぞるだけ。
どのようにするのか、それは至極簡単で主人公と自分を重ねる想像をすると、私は本の世界に入り込むことができる。

主人公でいる間は、様々な感情に支配されるが、本が終わると私の人生も終わりを迎え、次の人生が始まるまで眠りにつく。
そして夢で微睡む間は、本来の私に戻れているはず。
なぜ、自分のことがわからないのか?
たぶん、そういう理なのだろう。


そして、本の世界のことも覚えていない……


私の存在理由とは……


きっと、この思考も消えてしまうのだろう。




『最初から決まってた』

8/8/2023, 10:21:41 AM