創作
せっかく朝早くから整えた前髪は瞬く間に乱れた。スカートがめくれないように押さえながら学校までの坂道を歩く。憧れの先輩に渡す手紙を握りしめて。直接渡す度胸も無いので下駄箱にこっそり入れておくつもりだ。砂埃に目を細めながら前を向くと、そこには先輩が。絶対にこの手紙は見られてはいけないと持ち直そうとした時、特別強い突風がびゅうと吹いた。
「あっ!」
空に舞い上がった手紙は偶然にも彼の元へ。先輩はそれを拾い、その差出人と目が合った。
「これ、君の?」
風のいたずらは時として追い風になることもある。
1/17/2025, 1:28:50 PM