「私ね、雨の方が好き」
彼女はそう言った。
「だってさ、雨って音を消してくれるじゃん!それに体育嫌いだもん…」
私はふーんと言いながら、窓から外を覗いた。
次の日は大雨だった。
「あーぁ、雨の日って嫌い」
彼女はそう言った。
「聞いてよ、雨で人多いせいでバスで座れなかったの!」
湿気でうねった彼女の髪の毛のカールをじっと見つめながら、そっと櫛で梳いた。
「春の天気みたいな性格」
どうやら私の言葉が彼女にはどうもピンときていない様子で首を傾げた。
「ん?どういう意味?」
「ふふっ」
次の日は晴れ。
桜の花びらは昨日の大雨に流され、ほとんど散ってしまった。
桜散る
4/17/2024, 12:48:12 PM