Thema「手ぶくろ」
私の親は毎年、手袋をくれる。
最初はなんで手袋?と思っていた。
でも手袋をもらって、またもらう頃には、その手袋はボロボロになっている。
もう私にとって毎日手袋をもらうことは普通になった。
でも今年は少し違かった。
手袋は毎年12月にくれるのだが、今年はくれなかった。
私から「手袋は?」と聞いてもいいのだけれど、なんかそれは嫌だった。
仕方なく、今まで使っていたボロボロの手袋を使うことにした。
そして2月。受験の時だ。
私は難関校を志望していることもあって、1年中勉強尽くしだった。
そしていざ、入試当日。
親からの応援の言葉と共に、あれをもらった。
「はい。手袋」
「え?手袋?」
私が不思議な顔をしていたからか、親はすぐに説明してくれた。
「12月に渡すと、もうこの頃には汚れてるでしょ?だから今日みたいな大事な日に渡そうとしてたの」
そして親は最後に。
「頑張ってきなさい」
そう言ってくれた。
そして私も全力で答える。
「行ってきます!!」
入試の会場へと向かう道のりは、すごく寒くて身体が震えてしまう。
でも唯一、手だけは暖かくて……
「ん?」
手袋の手のひらの部分にネームペンで何か文字が書かれている。おそらく文字の感じからしてお母さんだ。
『きっと大丈夫。合格するぞー!(* ˊ꒳ˋ*)』
「あははっ」
思わず笑ってしまった。
「すごく目立つじゃん。これ」
不思議と、その手袋のおかげで私のガチガチの緊張はとけ、リラックスできた。
「合格勝ち取ってくるよ」
そう思い、私は受験会場へと向かった。
12/27/2023, 12:56:01 PM