霜月東

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「うわーっ!!!めっちゃ遠くまで見える!!空気が綺麗、気持ち〜!!」

快晴。言葉の通り、雲ひとつない澄み渡った青の天井が俺たちのいる丘の上に広がっている。俺たちは約束を果たし、今日ここにいる。

君…いや、アイツはと言えば、長旅であったにもかかわらず、馬鹿みたいに元気だった。犬か。俺は疲れ果てているというのに。

「ねえ!早くテント張ろうよ!そんでもって、この空の下でご飯を食べようよ!」

「はしゃぎすぎだ。俺は疲れた、少し休憩させろ」

「え〜、そんなに疲れてるの?もしかして…僕とのキャンプが楽しみで寝れなかったとか?」

呑気なやつだ。人生の転換期を終えたばっかだと言うのに、俺とは違って君は疲労のひの字も、緊張のきの字もない。正直、羨ましかった。

「寝れはした。ただ…昨日の緊張が抜けない。ただ…それだけだ……」

そう言って、俺は芝生の上に寝転がった。安堵か、それ以外か。強烈な睡魔が津波のように押し寄せ、抵抗する間もなく飲み込まれてしまった。

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「……ん…あれ」

目覚めると、暮れた空をバックにした赤い髪が見えた。ぼやけてよく見えない。だが、君であるということは容易に理解できた。

「起きた?」

無邪気な笑顔のまま、君は俺の頬を撫でる。

「もう夕方だよ。急に寝ちゃうんだから、僕…すっごく心配したんだよ?」

君に支えられながら体を起こす。綺麗に立てられたテントが見えた。上手い。あのテントを何個もダメにしたあの破壊神はどこに行ったのだろうか。

「……綺麗に立てれたな」

「でしょ?練習したんだ〜。さっ、こっちに来て。中でお茶しようよ」

手を引かれ、テントの方に向かう。楽しそうに笑う君を見て、俺も微かに微笑んだ。

2026/4/13

お題「快晴」

4/13/2026, 2:10:12 PM