テーマ『特別な存在』
飼い主にあなたは見えないけれど
あなたには私が見えているのね
そんなに凝視しなくたって、私はそんなに長くないわ
さっさと立ち去りなさい
……初対面であまりじろじろ見るのは、失礼じゃなくって?
まったく、礼儀というものを知らないのかしら
──あら、まだいらしたの
ホント、物好きな人。いえ、ただの暇人かしら
そこまで私を読み解きたいなら、好きになさい
といっても、もう私の終わりは近いけれど
ふふ、ついにここまで来てしまったのね
短い作品を読むのは、そんなに楽しいかしら
けれど。数多の作品の中から私に目を留めたあなたは
なかなか、見る目があるようね
いいわ、今日のテーマは『特別な存在』だったわね
私にとっての特別を、教えてあげる
──産み落とされて間もない私を、見つけて、ここまで読んでくれた人
そう、あなたよ
全ての作品は、誰かに読まれて初めて価値を持つ
あなたは私に価値を与えてくれた
あなたは私にとって、間違いなく
特別な存在よ
私を見つけてくれて、ありがとう
3/24/2023, 9:41:44 AM