マハーシュリーの夏巳

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【お題:カーテン】

かなり昔、
民放のテレビ番組で

自分の部屋に閉じこもって
20年以上 という男性の
ドキュメンタリーが
放送された

話題になった番組なので
覚えてらっしゃる方も
多いかもしれない

印象的だったのは
長い撮影期間の中で
スタッフと
男性の間に
信頼関係が結ばれていき

男性が 番組終盤、
スタッフの 目の前で

20年以上
閉めきっていた部屋の
カーテン、窓 を開け放ち
外の光を入れたシーンだ

暗い青色だった空気が
一気に陽射しを受け

部屋に透明度が増す様子を
カメラが見事に
とらえていた

そして 
同じく印象的だったのが
もう1つの出来事

大ファンだという、
ミュージシャンのライブに
男性が出掛けるのだが

そのライブ後、
男性とそのミュージシャンが
ライブハウス内で
話す様子が映し出された

男性が
実は自分は長いこと
外と関わりを持たず
部屋に閉じこもっていたのだ

と話すと

彼女は
自分も 同じく
閉じ込もっていた時期がある

と話したのだ

それを聞いて私は
2人の偶然に驚きながらも

彼女の作る曲、声の中に
男性は

彼女が体験し 
通過してきたものを
感じとった部分も
あるのかもしれない
と思った

もしかしたら
ただの偶然かもしれない

それでも
曲だろうと 絵だろうと
人が  ああ、いいな
と感じるものは

作り出す人と
受けとる人の間に
感応しあう何かが そこに
あるのではないかと思う

それから
何年後になるだろうか

72時間 という番組の
エンディング曲が
とても素敵だったので

歌手の名を
番組エンドロールで
目を皿にして 探した

そこに記された名前に
見覚えがある気がして
ドキッとした

あわてて いま見た名前と
思いつく限りの
キーワードをいれ 検索した

まさに
男性が大ファンの
あの ミュージシャンだった

時間を越えて
ようやく彼女の歌を
私も聴くことができた

男性の番組で見た、
彼女の温かい人柄と
凛とした様子を
思い出しながら

世の中には こんな
時を経た出会い
もあるのだと 思った

10/12/2023, 2:38:32 AM