愛を注いで
あるところに一人の女がいました。
女は祈りました。
「可愛い女の子が欲しい」
女は毎日毎日祈り続けました。
ある日、祈る女の前に女神が現れ、一つの球根を女に授けました。
「この球根を大切に育てれば願いが叶うでしょう」
女は球根を植木鉢に植えて大切に育てました。
「あなたのためよ」
毎日たっぷりの水と肥料を与えながら女は言いました。
「全部あなたのためにやってあげているのよ」
悪い虫が付かないように植木鉢を窓から遠ざけて女は言いました。
「あなたは私の可愛い子、ずっとお母さんが守ってあげる、だからずっと可愛い良い子でいてね」
女は毎日植木鉢に囁き続けました。
そうして長い月日が経ちました。
しかしいくら待っても植木鉢から芽は出ません。
とうとう女は我慢ができず土を掘り起こしました。
土の中から出てきたのは腐ってドロドロに溶けた球根でした。
12/14/2024, 9:44:42 AM