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心のざわめき

心のざわめきに遠い海。
その人は、やはり海にいた。

何時かの海で、その人は、日傘を差して、ひとり海を見ていた。

遠い人を、来ない人を待ち続けるような愁いを含む黒い瞳を長い睫毛の下に湛えた、凛とした佇まいと、白く透明な肌は、少年たちの憧れだった。

また、何時かの浜辺で、その人に出会ったとき、やはり海が見たいと言った。すぐに来る哀しい予感を悟った。愛することは海の底、とても深くて危険で、けれども美しい宇宙。

春のはじまり潮干狩り、煌めく喧騒の夏は直ぐに過ぎ去り夏の終わり。勝手に時間は無限にあると思っていた…若き日の過ち。

寄せては返す漣に、あの日の遠い海を想い心ざわめき、一人歩く「海に連れて行けなくてごめん」そう詫びながら海に君のサラサラとした白い遺骨を流す。

何度も、ここではじまり終わる。

「また、戻って来てね」と言うように波は静かに寄せては返す。遠い海は穏やかで深い深い海の遠い遠い海の哀しい歴史を語らないのか歌わないのか。

きっと、また来る、その人を見つけに。
遠い海を見つめながら、何度も繰り返す私たちの生と死を想い、心ざわめく。

目を閉じると、どこか遠い遠い記憶の片隅に海を見る。成就することのない恋がそこには、桜貝とともに忘れ去られたように波打ち際に転がっている。「人間というものは、みんな遠くに見える海のようなものをもっています」と文豪は言ったが、心ざわめくその想いと、そしてやがて来る哀しい予感を抱きしめて、人間は命の歴史を、この海に鎮めて来た。けれど、それもたまゆら人と生まれし霊は、何度も繰り返しこの潮に身を任せ彷徨い見つけまた、その契りを結んだ手を離し海に鎮める、哀しい愛しき業を背負う。

人の心の海鳴り、遠き海より哀しい予感を背負いながら、我を呼びし、逆らうことは出来ず、ただ、遠い海に凛とした、その人の姿を想い、今も心ざわめく。

「遠い海」 
   
    作者 井上靖 リスペクトオマージュ


「潮(うしお)のざわめき」   
             
               作 心幸

令和7年3月15日 
 

本日の後書き

人に差した人差し指は自分に向ける勇気を。自己評価ほど甘いものはありません笑笑 他人様を見て「心がざわざわ」するのと、「心のざわめき」は随分違うが笑笑 心がざわざわする他人様の欠点は、自分の欠点だったりするものです。自由に語れる場所で「訳知り顔で、しゃしゃり出てくるな」は全くもって直情的ですねぇ(笑)ウケましたねぇ、なかなかの兵揃いのセンセー方の集まりで、「同類相求」とはよく言ったものですね笑笑

「先生と呼ばれるほどの馬鹿でなし」全く笑笑

東大卒も中卒も無職ニート引きこもりでは同類、社会のお荷物でしかない。きちんと納税者になってから、知った口利くは道理というものです。

意見は納税額の高いものからは、資本主義の掟だから、掟破りは社会主義国へでも。




3/15/2025, 11:06:14 AM