失敗したなあ、と黒板を眺めながらぼうっと考える。
学校の教室。夏休み中だけど、講習があって重い腰を上げて学校に来ていた。
が、寒い。エアコン効きすぎている。外はあんなに暑かったのに!
最初の方は、熱で温まりきった体に丁度良かった。自分の座った席がエアコンの当たる席だと気づいたのは、授業が始まってすぐ。他の皆は丁度良いらしく、特に寒がる様子もない。
授業終わるまで、あと30分もある。寒すぎる。耐えられない。
諦めて気を逸らすため寝ようかなんて、サボりを検討していればトントン、と控えめに机をつつかれる。顔を上げれば気になっていたクラスメイトの男の子。
「…寒い?そこエアコン当たるでしょ」
「あ、…うん、そうだね、ちょっと寒いかも」
「やっぱ?あー、俺前そこの席でさ。めっちゃ寒かったんだよね」
ちょっと待って、とカバンをガサガサして、取り出したのはカーディガン。
「緊急事態ってことで。はい、洗ったばっかだから」
ずいっと差し出される。黒板に文字を書いていた先生が話を再開しようと振り返りかけて、慌ててカーディガンを受け取った。
…暖かい。というか、何だかカーディガンを着なくても暑い気がする。主に顔が。
半袖、悪くないかも、なんて。私より一回り大きい袖を緩りと握った。
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「半袖」
7/25/2025, 3:08:49 PM