安倍川 もち子

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動物を飼うのは初めてではなかった。

「リオ…」

遠慮がちに声を掛けた。
人に対してもそうだが、私は動物にも人見知りをする。


辺りをソロソロと伺いながら、1匹のグレーの猫が出てくる。


その姿を見て、胸にじんわりと暖かいものか込み上げてきた。


「今日から一緒に暮らすんだよー。よろしくね」

私の言葉を聞いているのかいないのか、リオは辺りをキョロキョロと落ち着かない。


それはそうか。
おばあちゃん家とは違うんだから。


じっと一点を見つめるリオの横顔をみて、目がガラスみたいだな、と思った。
「猫の目ってこうなんだ…」
感動と新しい発見をした気持ちでしらばく見つめる。


撫でてもいいだろうか。
いやいや…しばらくそっとしておいた方がいいでしよう。

私は腰を上げた。

すると、柔らかく、ほっとするぬくもりがふくらはぎ辺りから伝わってくる。

「ナーン」

私の目をまっすぐ見て、リオはキラキラと光る瞳を向けてくる。

…かわいいな。

「…リオ」
「ナーン」
「リオ 」
「ナーン」


…なんだか泣きそう。

返事を返してくれることが、
こんなにも心にくるとは知らなかった。


これから何年、一緒にいれるだろう。

それでも、この新しい生活の始まりの日のことは、ずっと忘れない。


END

5/27/2025, 2:53:19 AM