奏桜希夜

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「ねぇねぇ、君は愛があれば何でもできる派の人ぉ?」

突然ごろごろと小説を読んでいた彼女が聞いてきた。

「んー愛だけじゃ無理じゃない?」

僕は苦笑いしながらも現実的に返す。
すると彼女は僕の膝に転がってくる。

「だよねぇ。何をするかっていうのにもよるんやけどねぇ。すべてを投げ出してっていうのは横暴すぎるよねぇ…」

なんて、少し遠い眼をして語る。見た目も話し方もふわふわしているのに、けっこうリアリストな彼女はよく驚かれる。

「うん。でも、もしぼくがヤンデレになって…ぼくのためなら何でもできるでしょ?とか言い出しちゃったらどうする?」

少し好奇心が湧いて彼女に聞いてみる。

「…あんま想像できないねぇ…でも多分、人道的に反してなければ基本は聞いてあげられるんじゃないかなぁ…?お金とかは無理やけどぉ」

きっぱり無理、別れると言われると思ったから目を見開いてしまった。

「以外って顔するねぇ…でも、わたしこう見えてぇ君のことちゃんと好きなんだよぉ?
まだ、誰よりも愛してるとは言えないんだけどぉ、何十年後とかなら胸を張って言えるかなぁ」

確定じゃないけど、確信はあるんだよぉとドヤ顔をする彼女が愛おしくなる。

「僕も多分そうだよ。君に言われたらめんどくさいと思っても基本付き合えちゃう」

おそろいだねぇ…と優しく笑う彼女に僕は問う。

「ところで、その小説はどんな話なの?」

「これねぇ!めっちゃ面白いのぉ。ストーリー展開と感情描写が丁寧に考えられててねぇ…」

猫のようにキラッと瞳を輝かせ話し始める彼女に僕は今日も愛が増している。
きっと僕らは愛があればとは言わないが、愛があるからこれができると、これからたくさん見つけていくだろう。

#愛があればなんでもできる?

5/16/2024, 1:04:13 PM