夏の魔法使い

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『野菜売りの源二』

 どんぶらこどんぶらこと桃が流れてきて、その中から男の子が生まれた。すくすく育ち、悪さをしている鬼を倒すと言った。きび団子を渡し、仲間を連れ、無事鬼を倒した。これが俺の来歴だ。笑っちゃうよな。桃から生まれたなんて馬鹿馬鹿しい。でも、鬼を倒せる力があることがわかったから、今は鬼退治を仕事にしている。村から鬼退治を頼まれて、仲間と鬼を倒してお礼を貰う。なかなか報酬はいい。だけど、プレッシャーが凄い。村の人の命がかかっている。絶対に倒さないといけない。押しつぶされそうになる。
 とある村から、鬼退治を頼まれた。赤鬼と青鬼がいるらしい。鬼の住処に向かう。赤鬼は成敗できた。残るは青鬼だ。!何が起きた?動けない。徐々に痛みを感じて、意識を失う。目が覚めると村の民家だった。話を聞くと、俺は背中を金棒で殴られて倒れたらしい。青鬼は仲間がなんとかしてくれた。そして急いで、俺をここに運んで治療したそうだ。仲間に感謝する。仲間が出ていった後、1人で考える。恐れていたことがおきた。最悪の事態は免れたが、もしこのまま死んでいたら。仲間がいなかったら。考えれば考えるほど苦しくなる。俺は五年続けたこの仕事を辞めることにした。
 次の日、仲間にその事を伝えた。止める者はいなかった。この村を出て、仲間と解散する。こうして俺は自由になった。少々遠いところにある集落に住むことにした。「桃太郎」という名は目立ちすぎるから、「源二」と名乗った。そこで野菜を作って売っている。最初は、上手くいかないこともあった。でも、集落の人達が野菜をくれたり、作るコツを教えてくれた。みなさんが協力してくれるから、上手くいかなくたっていい。僕にはプレッシャーがかからないこの生活があっているのかもしれない。

8/10/2024, 2:48:25 AM