静かに眠りこける朝を
大地がゆする
言葉なくなにかを訴える
貧乏ゆすりのように
お腹減ったな
脳裏に星を飛ばしながら
薄闇のなかで冷蔵庫をひらく
納豆のパックをあけて
少しお米をのっけて
こぼさないように混ぜる
ほかほかごはんの湯気が大豆の香り
甘さをかみしめながらテレビをつける
冬毛の犬たちがソリを引いていた
白い息までふわふわで
なにかがきしむ音を聞いた気がする
とてもだいじなことを考えていた気がする
でも目が覚めれば大抵それは
くだらないことだったりするのだと
根拠なく納得して
不安を飲み下す
形にならないことを少しずつ
日常の裏へとりこぼしていく
『平穏な日常』
3/11/2023, 11:43:33 AM