海喑

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日が落ちかけた夕方頃。まだ少し蒸し暑くて、歩いてるだけでも少し汗ばんでくる
元々暑がりだからこの位の暑さでも溶けてしまいそうになる私は一刻も早く涼しい家に戻ろうと
暑いのを我慢して家に帰る

家の鍵を開けると、涼しい空気がぶわっと私を包み込む。
さっきまでの暑さを一瞬で忘れてしまうくらいだった。
さっきまで着ていた服を洗濯機に入れて私は貴方が買ってくれたルームウェアを着る
すると後ろからギュッと抱きつかれて
「ひゃう?!」なんて言う声が出る
こんな事されるの全然無かったから。
猫耳のついたフードに頭をうずくめてくぐもった声で独り言くらいの小ささで
「遅いよ、海暗…待ってたんだよ?」なんて言ってきた。
私は貴方の腕に挟まれてた手を引っ張り出して頭を撫でる
「ごめんね、遅くなっちゃって」
宥めるような感じで言う
あとから話を聞くに、いつもならもう少し早く帰ってくるのだけど、今日はかなり遅くなったから心配してくれていたそうだ。
LINEでも送ってくれればよかったのに……とは思ったけど、待っててくれた貴方に失礼だ
そして、貴方は
「海暗がどっかに行っていないか怖かった。海暗は俺のなのに」
なんて、急に言ってくる
胸の鼓動がどんどん早くなっていくのが分かった
私は貴方の頭から手を離し、そのまま顔を覆った
「そ、そうだね…、ご飯食べよっか…」
照れ隠しも兼ねてご飯のことを話題に出す
すると食い気味にうんと返事をするから、お腹すいてたんだなって分かった
私はそう言いつつ、収まりそうにないこのドキドキに少し呆れながらも笑っていた。

9/8/2023, 3:06:31 PM