【行かないでと、願ったのに】
"行かないで"と叫びたかった。
いくら走っても、手を伸ばしても
届かないから。
声を出すのは苦手だ、
自分のことを言うのはもっと苦手だ。
否定されたら怖いから
自分のことを言わないままにすると
相手の思う自分と本来の自分がどんどん離れていって
次第に期待も大きくなる。
その差が大きければ大きいほど
本来の姿に絶望して離れていく。
背中を見つめるだけで
行かないでの一言すら言えない。
自分のことを言えば済む話なのに、
ただ教えればいいだけなのに、
過去の自分が邪魔をして、何も話せなくなるんだ。
過去に囚われて、一歩進むのが怖くて、
変わらない今を望んでいる。
昔からずっと成長してない。
他から見たら私はすごい人に見えるのかもしれないけど
本質は変わらず、過去が怖いだけ。
周りが全員居なくなって、
何もかも失ってしまったあの日を
ずっと今まで引きずっている。
最近の流行りも記憶も、全部分からなくて、
私だけ時間が止まってしまったみたい。
行ってしまった大切な人たちを
今でもずっと思い続けている
離れていく背中を見て、
"行かないで"
叫ばず、ただ願うのみ。
もう戻ってこない。
あの日の背中と大切な人が重なってしまうから
私は自分のことを言うのが苦手なのだろう
全部なんとかしてしまうのだろう。
時間の止まった私は、進む君を追いかけられない。
叫ぶことも、泣くことも、
ただ見つめることしか許されない。
11/3/2025, 2:25:07 PM