小絲さなこ

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「秘密じゃなくなるとき」


まだ、友達の誰にも知らせていない。
ただの幼馴染ではない関係になったこと。

まだ、お互いの家族すら知らない。
既に手を繋ぐ以上のことをしていること。

なんとなく恥ずかしいからと、誰にも言わずに半年。
ふたりの関係を隠すことは、なんだかイケナイことをしているみたいで、それはそれで悪くない。
だけど、このままずっと隠したままで本当にいいのかと思うようになってきた。


「ちゃんとした付き合いをしてるって、言っていいか?」
「んー、別にわざわざ言わなくてもいいでしょ」

面倒そうに言う君。
いや、たしかにめんどくさいけどさ。

「そうは言ってもなぁ……」
「ていうか、もうバレてるような気もする」
「マジかよ!早く言えよ、そういうことは!」
「えー……」

「なんつーか、将来的なこともあるし。真面目に、ちゃんと付き合ってるって、言いたいんだよ」

「…………」
「…………」

「……えっと……」
やべぇ、しくじったか?

「そ、そう……それなら、いいんじゃない?言っても……」

そう言って、君は顔を背けた。
そんな赤面するようなこと、俺言ったかなぁ……



────二人だけの秘密

5/3/2024, 2:36:49 PM