rororu

Open App

『勿忘草』(創作)

「忘れる、忘れない、忘れる、忘れない…」
勿忘草の小さな青い花たちに願いを込めて呟いてみる。
花占いは花弁を引き抜くけれど、勿忘草の小さな花に、そんなことは出来なくて、わたしは花を数えるように呟いていた。

「忘れる、忘れない…」

ごめんね。もう占うのはやめよう。
わたしは忘れるつもり。忘れなくちゃ。
だから「忘れないで」なんて言えない。

─ 忘れて、いいよ ─

静かに落ちる涙は、勿忘草を濡らして消えた。

2/2/2024, 3:14:45 PM