【白い吐息】寒空の下で、私だけの足音が聞こえる。真っ白な空と一面の銀景色に挟まれた地平線はもうほとんど見えない。まるで世界から全てが消えてしまったみたいだ。冷え切った空気をすぅと吸って、溜息のように吐き出した。真っ白な私の息がふわりと現れては、宙に溶けて消えていく。君が吐いた煙草の煙みたいな形をしているのに、憎たらしいほど白い。色のない私の涙が雪の上に落ちる。それが足元に降り積もった雪を染めることは無かった。
12/7/2025, 6:21:46 PM