きらめき
彼はいつでも主人公のような人だった。
私は彼に恋をしていた。したくはなかったがいつの間にか
目が離せなくなっていた。
それが私の初恋だった。
彼の周りにはいつも人がいた。男女問わずの人気者だった。
私は彼が嫌いだった。彼の丸わかりのつくり笑顔が嫌いだった。
なのにみんな気づいていないようで、彼が本当に笑っているのだと思っているようで、私は怖かった。
彼は誰にでも分け隔てなく話す人だった。
だから、彼と話した人は全員嬉しそうな顔をしていた。
私はそれが嫌だった。
彼に過度な期待をしすぎて、落ち込む人を幾人と見たからだ。
私は彼に期待しても意味が無いことを知っていた。
なのに、私は期待をしてしまった。
失敗だった。私は頑固な気持ちを持っていなかった。
逆らおうともせず、ただ流されるまま期待をしていた。
幾人も期待させておいて彼は死んだ。
彼は病気であった。誰もそのことに気づいていなかった。
私たちは彼のどこまで知っていたのだろう。
私たちは全員、彼のことを表すとしたら同じ表し方をするだろう。
誰にでも分け隔てなかったのは、彼がみんなに同じ印象を与えたいと思ったからなのではと思ってしまう。
彼は空でもきらめき続けるだろう。
9/4/2024, 2:50:29 PM