やなまか

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離れがたい。思うのが私だけじゃないといい。
玄関に降り、ふわりと振り向いたかと思うと腕を取られた。あっという間に腕の中。
背の高いたくましい肩に埋もれて彼の香りに包まれる。
腰を抱かれ頬を支えられた。
あ……。逃げたくなるぐらいの緊張だった。
すっかり温まった唇に塞がれる。何度もついばむようなキス。鼻から息がぬけて、震えるほどに心地いい。
「さらって逃げてもいいか…」
苦しそうな声。首元に顔が埋まる。私だって辛いのに。
抱き締めた瞬間に身体がぴたりとはまるように馴染んで、離れられないな。そんな意識に解かされた。

9/28/2023, 3:25:49 PM