羅針盤が狂った。
どうやら僕たちはここまでらしい。
ここがどこかも分からない。
ただひたすら羅針盤の針を目印に歩いていたがもはや食料も尽き、あとは残りの体力がどれだけ持つかのみになった。
ゆっくりと、だが確実にすぐ側まで近づいてる死に恐怖を感じる力も残ってない。
乾いた床に倒れる。
隣に同じように君が横たわった。
「ごめん」
乾いた口から振り絞るように彼が言う。
声を出したかった。
謝らないでくれ、僕は君と一緒に旅をしたかっただけだ。
着いてきた僕のせいだ。
そう言いたかったのにもう力が出ない。
最後に振り絞って声を出す。
「君を1人で逝かせなくてよかった」
返事が聞こえない。
愛する友よ、もうすぐそっちに行くよ。
まだ暖かい彼の手を握って目を閉じた。
1/21/2025, 11:17:34 AM