九至 さら

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『寂しい』

凹凸みたいな関係に酔えていたのは最初だけだった。
性格も趣味も真逆な私たちは、まるで磁石のように惹かれあった。
冬の嫌いな私に冬の楽しさを教えてくれた。
君にゲームの楽しさを教えたのは私だし、朝焼けが綺麗だと教えてくれたのは君だった。
お酒だって、タバコだってあんなに嫌いだったのに今ではないと生きていけない。
なのにいつからか、寝る時間、味の好み、家を出る時間、全てが噛み合わなくなっていった。

起きても隣に君はいないし、おかえりと聞くことは無い。ご飯は別々。おやすみも暗闇に消えてしまう。

2人のはずなのに
ひとりよりもずっと孤独だった。

最後の最後の話し合い。
初めて出会ったマクドナルドで私たちは終わりを迎えた。目の前には、ぐちゃぐちゃにされたハンバーガーの包み紙と、綺麗に折られた包み紙が2つ並んでいた。

11/11/2025, 4:45:50 AM