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付き合ってどれくらいと考えればある程度長くそばにいるのだが、その殆どが遠距離だったため、こうして部屋に入るのは初めてだったりする。
散らかっているけれど、なんて本当に口だけで。
綺麗に整頓された、こざっぱりとした部屋。
物持ちが良いのか、それともあまり持ちたがらないだけなのか。
分かるのはビデオ通話から見えた世界は実は存外広かったこと。
棚に並べられた賞状を眺めては、彼の抱える今が自分の理想とする行動を丁寧になぞるようで、とても嬉しく、こそばゆく、誇らしかった。

そしてその棚にささっている痛みのある本は『好きな本』なのだろうか。
何度も手に取り、読み込まれ。
どんなに生活リズムが変わろうと変わらない本。
そんなささやかなことですら滲み、こみ上げるものがあって。
自分が知る彼は。
まだほんの表面でしか知りえなくて。
あまりにも俺たち二人の間には時間が足りなくて、歯痒かった。

6/15/2024, 4:24:06 PM