子供の頃、好きな色は何か聞かれてそれに答えることが難しかった。難しいと言っても、黄緑と答えてはいたがなんで黄緑が好きかはわからない。今はそんな好きな色でもないわけだが。
何気ない質問にどう答えるかの方が重要だったのだろう。素っ気なく、特に理由もなく、なんとなく黄緑が好きだということしか言葉にできず、相手の好きな色を聞いたり、そこから話を広げたりと会話を楽しむことができていなかったのだ。
子供ながらにこの人はこれからの付き合いにどう影響するのか考えていたのだろうか、と今は考える。敵が味方か、有益なのか有害なのか、何の影響も及ばさない空気なのか。答え方で決められていた。
今となっては遠い過去の話ではあるのだが、その頃から人付き合いがうまくいってなかった事実はこれからも会話の機微に反応することなく、ただ事実だけを述べる面白くもない人間がいることを示しているのだろう。
6/21/2024, 1:30:17 PM