andy

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〈ラララ〉

 目を開くと、そこは一面の向日葵。一面の向日葵。そして、じりじりとした夏の陽。Tシャツが汗で張り付く不快感と、むせ返るような土と花の匂い。耳を澄ますと蜂の羽音が聞こえる。一面の向日葵。額の汗を拭いながら、ああ、暑いと呟く。向日葵は太陽の方を向きながら、ぐりんと首を回すので少し怖い。茶色のぎっしり詰まった種のところも、綺麗に並んでいて不気味だ。僕はあまり向日葵が好きではなかった。向日葵畑は一つの観光名所になっているようで、時々、道端に車を停めわざわざ降りて、写真を撮るような家族やカップルもいた。窓の開いた車のカーステレオからラララと伸びやかな声が聞こえてくる。自分たちの世界に入り込んでいる男女が、向日葵畑に突っ立っているこちらに気づかずに写真を数枚撮り、満足げに車に乗り込んで行った。

3/7/2025, 11:53:34 AM