「星空の下で」
ぼくは孤独な彼岸で、此岸のことを観測していた。
そんなある日。太陽と月が降ったある日。
ぼくはきみと出会った。
まさかこの世界で誰かと出会えるとは思っていなかったから、ぼくはあまりうまく話はできなかった。
でもまたいつか、いつか会えたらと思ってぼくは
「また会える日まで待ってて」
そう伝えた。
その瞬間、強い風が吹いて、気がつけば
きみはいなくなっていた。
だが、きみと出会ってから、観測用装置に異常な値が検出されるようになった。
-6366799 -3699 -14400 -38480 -5473
マイナスを表す数値ばかり表示される。
此岸で観測出来る存在が減り続けている、ということだ。
そして「Xjlro」という謎の文字列。
何が起こっているんだ。
きみは何者なんだ。
ぼくは彼岸で此岸を観測することしかできないから、
きみを止めることはできない。
いつかぼくもこの世界ごときみに消されるのか?
星空の下で、星が減りゆく空の下で、
ぼくはただ、此岸の破滅を見ていることしかできなかった。
そんなある日、ぼくはひとつだけこの装置から「IFO-712」という場所にメッセージを送れることに気づいた。
一縷の望みを懸けて、ただ「Help」とだけ入力した。
そうしたらなんとぼくを助けてくれるという内容の返事が来た。
ぼくは安心して、久しぶりの眠りについた。
「……おい!おいキミ!!!」
気がつくとぼくはミントグリーンの小さい人に揺り起こされていた。
「びっっくりしたよ〜!!!まさかこの空間から生体反応どころか、メッセージが!来るだなんて思ってもいなかったからね!!!」
「それはそうと……まあ詳しい話はあとにして、一旦ここから安全な場所に移動しようか!!!」
そうしてぼくはその人と共に誰かが暮らす部屋に来た。
「ただいま〜!!!」
「……お邪魔します……?」
「お〜い!!!キミ!!!ちょっとこっちへ来たまえ!!!」
そう言ってその人は誰かを呼び出した。
「あ、そうそう。いちおうキミにもこいつをつけておくよ!」
そう言いつつぼくの着ている服にピンバッジのような何かをつけた。
あぁ、おかえり。……その人が例の「特殊空間」にいた人か?
……どうも、狭い部屋ですがゆっくりお過ごしください。
この部屋の家主と思われる人の声が聞こえた。
だが実際に話をしているわけではないらしい。
「そうだよ!!!ってキミは彼も見えるのかい??!さすがだね〜!!!」
「あ、この人はマッドサイエンティストのボクの助手さ!!!キミも仲良くしたまえ……と思ったんだがキミは少し存在が不安定なようだ……。安定した空間を提供できるようになるまで、ここで過ごすといい!!!」
「あ、そうそう!!!さっきつけたそれ、助手の心の声が聞こえるようにする小型ながら高性能なボクの発明品なのさ!!!流石ボクだね!!!」
「では、そろそろ昼ごはんの時間だよ!!!何か食べたいものがあれば言ってくれたまえ!!!」
とにかく、ぼくは孤独なあの世界から救われたんだ。
それだけでとても安心して、気がつくとまた眠りに落ちていた。
4/6/2024, 6:40:43 PM