うどん

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二十代は日々を生きることに精一杯で、先のことを考える心の余裕なんてなかった。

毎日毎日「今」を生き抜いていれば、いつの間にか1ヶ月、半年、と過ぎていき、ふと気づくと三十代になっていた。

関わってきた人たちとの関係もある程度固まってきて、昔のように色々と心の内を探り合わずとも、無理せず互いが互いの心地よい居場所になれる、身内、に出会えることができた。

その頃からだ。約束をするようになったのは。
昔は、そんな不確かなものに縋るのが怖くて、極力約束をしないようにしてきたし、そもそも約束は叶うことのないもの、という認識で生きてきた。

それが今では…

「明日はネギ抜きでエビチリ作ったるから」

「来週駅前のケーキ買いに行こ」

「来月始まる見たいて言ってた映画、行こうな」

「半年前から予約開始やから休み合わせよな」



約束に縋ってる、とかそんなネガティブなことではなく。
純粋に共に先を願うことが嬉しい。


また一年後、俺らはどんな風に変わってるんやろ。

どんな形であれ、ずっと近くにいられたらいいな、と思った。


「…来年も一緒に来ような」



【お題:一年後】

5/8/2024, 1:01:12 PM