ホシツキ@フィクション

Open App

昨日彼女が消えた。


今思えば俺は彼女に何もしてあげれなかった気がする。
何もしてあげれなかったどころか、彼氏としても最低だったかもしれない。

最初は頻繁だったLINEもいつしか“おはよう”と“おやすみ”
だけになっていた。
通話もしなくなり、デートも月に1回会うくらい。
しかも主に家デートというやつだ。


そのきっかけは何だっただろうか。

『そうだ、俺が仕事忙しいから疲れてるって言ってからだ。』

元々甘えん坊なところが可愛いなと思って好きになったはずなのに、いつしか彼女からの甘えが重たく感じてしまっていた。

その甘えもワガママなものではなく、
“ちょっとでいいから声が聞きたい”とか
“たまにでいいから次の日がお仕事休みの時とかにお外で一緒に晩ご飯食べたいな”

とかそんな可愛いものだ。


きっと彼女は苦しかっただろう。
そして俺はなんて酷いことをしたのだろう。
彼女のことは大好きなはずなのに。

自責の念が押し寄せてくる。


消えたと思ったキッカケは、いつもの“おはよう”と“おやすみ”
が来なかったからだ。
厳密に言うと一昨日くらいからパッタリと連絡が無かった。

あんなに甘えん坊で、子犬のようにしっぽをふりふりして
分かりやすく好きという気持ちを伝えようとしてくる彼女が
こんなにもLINEして来ないのはおかしいと薄々感じてはいた。


感じていたのだが、彼女も忙しいのだろうと
勝手に決めつけていた。

『本当にクズだな、俺は』


後悔しても彼女と連絡がつかない。
彼女の友人や職場にも連絡したが、どこにいるのか分からないらしい。
友人から聞いたが、彼女の両親は警察に捜索願を出したそうで、近く俺にも警察から連絡が来るようだ。



冷静に――冷静に――――とりあえず目を閉じる。


まぶたの裏には彼女とまだラブラブだった頃の思い出が
浮かんでくる。

―――白いシャツだったのにナポリタンを注文して案の定ソース飛ばす彼女。

凄く猫舌で、俺がいれた熱いコーヒーをずっとフゥフゥしていた彼女。

アルパカを触って「ゴワゴワ…」とちょっとガッカリしてた彼女。

水族館でチンアナゴをずっと見てる彼女。

映画館で一緒に手を繋いで観た映画。

初めて2人で朝まで過ごしたあの日――――


どの思い出の中の彼女も、コロコロと変わる表情が
面白くて可愛くて、愛おしくて仕方なかった。




彼女はどこへ行ったのか。会いたい。抱きしめたい。


――過去のデートにヒントがあるかもしれない。
彼女が行きたかった場所、したかった事、彼女と話したこと全てを思い出そう。

俺はさっきよりも強く、後悔と共に
2人の過去全てを“想い”だそう。


【過ぎた日を想う】~完~




今日という日も明日には過ぎた日。過ぎた日を後悔しないよう
1日1日を大切に生きていきたいものですね。
それが難しいんですけど…。
いつも♡︎ありがとうございますm(*_ _)m

10/6/2022, 12:37:43 PM