月影 零

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シトシトと降り注ぐ雨。
朝の天気予報で快晴だと謳っていた天気予報士を
恨んでやる。
(…この降り方なら走れば帰れるな。)
そう思い走り出そうとした瞬間、クイッと俺の上着を引っ張る感覚がして後ろを振り向く。そこには同じクラスの
女子、俺の片思いの相手がそこに立っていた。
―なんだ?どうして俺の上着を掴んで…
追いつかない頭をフル回転させ言葉を放つ。
「…どうしたの?」
もっと何かなかったのかって自分でも思う。でもこの言葉だけでも出た俺を褒めて欲しい。
彼女は上着を掴んでいた手を話して、耳を赤くして言った。
『……傘』
「え?」
『…傘、無いなら一緒に入る?』
「…え?」
必死にフル回転させた頭がまた機能停止した。
これは、これは相合傘が出来るという事か?
(マジ!?これ夢!?)
動揺がバレないよう平然を保つ…が、
口角が無意識に上がってしまう…

―何やかんやあって俺たちは同じ傘に入って
帰ることになった。
普段は絶対に縮まらない距離。
でも今日は違う。
肩と肩が触れてしまえる程の距離。
"相合傘"という魔法がもたらした、
この恋が実る為の大切な1歩。

【どうかこの恋が実りますように】

6/20/2023, 12:10:36 PM