しろ

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「永遠の花束」

108本の薔薇でプロポーズするという話を聞いたことがある。

彼女は同僚の計画を聞いていた。
同僚とは専門学校時代からの知り合いで、話し方も面白いし、彼女は少し興味を持っていた。

専門学校は資格を取るための学校で、彼女は断念したが、同僚は資格試験に見事に合格したので、

108本の薔薇を用意して、ずっと好意を抱いている人に告白するのだという。

その告白がうまくいったらいいな、と彼女はふと思った。

彼女自身からは自分のことをそんなには話さなかったが、同僚は試験に合格した解放感からかなんでも話してくれた。
両親が離婚していること、兄がいること、その兄は彼の母が経営する塾講師をしていること、など。

色々なことがあっただろうに、屈託のない笑顔を見せる彼ははなし続けた。

春には上京するそうだ。
彼女は彼の恋の行方は知らない。

成就していたらいいのにな。

今でも彼女は花屋を覗いたりすると、108本の薔薇の花束で告白したであろう、同僚を思い出すそうだ。

2/4/2025, 11:01:10 AM