桜夏

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『冬のはじまり』
季節の変わり目はかぜをひきやすい。毎年のようにこの時期は多くの人が体調を崩す。今年も例に漏れず、学園に通う学生の多くが今月に入って何人もかぜでダウンしていた。
「千夏ちゃんが体調を崩すなんて、珍しいこともあるんだね。」
「だね。1番身体強そうなのに。」
「私はじめ、紗菜ちゃんに聞いた時一瞬冗談かなと思ったもん。」
「あぁ……。まぁ紗菜ならそういう冗談言いそうっていうのもあるしね。私もちょっと疑っちゃった。」
「いや私だって体調の一つや二つ崩すよ。おんなじ人間なんだからさ。」
そして、今日は体調を崩した千夏のお見舞いに2人で来ているのであった。
「あと普通に寒さ耐性ないから。冬のはじまりとか体調崩しやすいんだよ。」
「なるほどねぇ。まぁ早く体調治してね。なんやかんや紗菜も日向も寂しがってるから。」
「蘭ちゃんも態度に出さないようにはしてるみたいだけど、寂しいオーラダダ漏れだもんね。」
「まじ?体調治ったらすぐいじりに行こ。」
「さすがにやめてあげて……。蘭がかわいそう。」
「あんまり長居してもだし、私たちはとりあえずお暇するね。ゆっくり休んでね。」
「うん。ありがと。すぐにでも治して蘭いじりに行くから安心して。」
「ほどほどにね。じゃあ千夏またね。」
そう言って冬のはじまりの寒空の下に2人は乗り出す。早くその背中に追いつけるように、いまできることはただ休むことだけだから。

11/29/2024, 10:53:54 AM