「「さようなら。」」室長の号令にあわせて挨拶をする。今日もこの時がやってきた。教室から我々が解放される瞬間が。そう、放課後である。準備の多い野球部の男子や早く帰宅したい人たちが鞄をつかんで教室を飛び出していく。慌ただしい彼らを見送りながら私はのんびりと同じ部活の仲間のもとに向かう。「おっす~。」「うぃっす~。」そんな緩い感じで一人また一人と集っていく。数分後いつものメンバーがそろい、部室に向かって歩き出す。話題は専ら今日の練習のことだ。主な練習メニューの確認に始まり、今日は顧問がやってくるのかどうかにまで話は広がっていく。やはり顧問の有無はその日を大きく左右するため、全員が真剣に情報を共有していく。時間をかけて議論し部室に到着した時に出た結論は、今日は来ないだった。この結論に至ったとき、私たちは歓声をあげる。なぜならこの放課後は素晴らしいものになることが確定するからだ。気の合う仲間たちと部活にほどほどに打ち込む。なんと素晴らしい青春の一コマだろうか。というか何が悲しくて怒鳴られながらへとへとになるまで部活をやらなければならないのだろうか。しかし、現実とは無常なものでこんな日は週に一度あるかどうかである。だからこそ、私たちは今日の放課後を大切にする。明日もこうであってほしいという叶わぬ願いを抱きながら。
10/12/2024, 4:07:50 PM