鐘の音
寒さに凍えながら、妹弟たちと身を寄せあい眠りにつく。
遠くで聞こえる鐘の音。家々から漏れるあたたかな明かり。楽しそうな笑い声。
サンタなんかいない、ってここにいる幼い妹弟たちに言えるわけなんてない。
この厳しい寒さと飢えを耐え偲んでこれたのはきっとあの人のおかげなんだ。
妹弟たちが眠り着いたのを見計らって寒空の下を駆けた。雪がちらつくほどの寒さを耐えるだけのものなんて何もない。薄着で真っ直ぐ駆けた。
街の中央に飾られた大きなツリーから盗んだオーナメント。
悪いことをしたオレのところになんてきっと一生やってこない。
それでもこのまま投げ出してしまうよりずっとマシだった。
12/20/2024, 3:05:07 PM