一尾(いっぽ)in 仮住まい

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→あ~、またやっちゃったよ……

「冬」と入力しようとすると、高確率で「ゆふ」とやってしまう。
「ゆふ休み」? なんじゃそりゃ?? うーん、そうだなぁ……――

⇢小話・ゆふ休み
 年越し前の仕事納めの日、石切場に村の若い衆が集まった。
「今年もこれで終わりやねぇ」
「エエ石、よぉさん採れたなぁ」
「ゆふ筵で暖かくして、ゆっくり休んでもらおな」
 そんなおしゃべりと共に、石を紫色の筵で覆ってゆく。
 ゆふはこの村の固有植物だ。蓄熱性が高く、筵にして布団の上掛けに用いれば冬でも寒さ知らずとなる。
 いつの頃からか年末の仕事納めになると、村の特産品である石材にこの筵をかけるようになった。村ではこれをゆふ休みと呼んでいた。
「あっ、雪降ってきた」
「筵の下であんじょうしときな」
 覆った石をポンポンと叩く、その手の動きは優しい。
 筵で石を覆ったあとは、石神様に供え物を捧げる。全員で一斉に手を合わせ、村人たちは去って行った。


よぅわからんオチのない話やが、ここらで終わりにしとうございます。
冬休みなんで、積読消化活動に励みます。


テーマ; 冬休み

12/28/2024, 3:50:49 PM