名もない譫言

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 俺は空を見上げた。
それは雲に覆われた広い空だった。

「やっぱ引きこもってた方が良かったな」

 空き缶をゴミ箱に投げ込み、そう呟いた。
せっかく外に出たというのに、真っ黒な空は、それを祝福してはくれなかった。

 歩くと、それを見計らった様に、雨がポツポツと降り始めた。この季節だと、雨が服に当たって冷たいし、なんとなくジメジメする。

「最悪だな.........」

 持ってきていた鞄を探るも、折り畳み傘は見当たらない。おまけに防げる物も何もない。

 仕方なく鞄を頭に乗せるも、辞めだ。ため息を吐きながら、重い足取りで家へ帰る。

(金輪際絶対に外に出る事はないだろうな
          いや、出てたまるか)

 普通の小雨が物憂げな空に変わる時、俺はそう固く決心した。

2/25/2024, 11:27:28 AM