生まれたときに
世界から予め決められた長さの道を与えられるのだと
誰かがそう言った
平坦に伸びた一本道ではない
始まりと終わりが重なった
紙の輪っかのような道です
始まりには線が引いてあって
そこをスタートラインにしてひたすら歩いていく
その長さは人によって違います。
ものすごく長くて途中でグニャグニャ波打った人
テレビのCMみたいにすぐに終わっちゃう人
途中でハサミを入れられて道から落ちてしまう人もいるそうです
歩くのも走るのも自由です
立ち止まるのだけルール違反です
あと、後ろに戻るのもダメです
最初は楽しいです
みんな、歩幅はそんなに変わらないから
でも、始まりから距離が離れるほど不安になります
理由は分からないけど、どうにも心細いのです
でも、それは途中までです
ゴールが見えると何故か安心してしまいます
もう、何処に向かうか分からない道を
独りで歩かなくてもよいのです
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「−0からの−」
2/22/2023, 3:35:47 AM