花とコトリ

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「消えない灯り」

夜のしじま。
電気を消しても、窓から微かに届く月の光が、
床にいるクロの輪郭を優しく縁取る。

もうずいぶん長く一緒にいる。
彼が私を見つめる、あの潤んだ黒い瞳。
その奥にある純粋な信頼は、
どんな嵐の中でも揺るがない、
私の心の底で灯り続ける小さな炎だ。

ふと、自分の手のひらを広げてみる。
何かを掴んでいるわけではないけれど、
そこにはいつも、
クロの温もりがあるような気がする。

いつか、すべてが変わってしまう日が来るだろう。
それでも、この「愛されていた」という事実は、
消しゴムでも消せないインクのように、
私の人生という紙に深く染みついている。

クロ、お前は本当に、私の消えない灯りだ。

12/6/2025, 2:44:32 PM