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日本海の荒れた波が、香澄の足を濡らす。
ふくらはぎに力を入れて踏ん張っていなければ、時折おしてくる膝上までの波に持っていかれそうになった。
空も海も真っ暗で、ただたくさんの星とぼんやりとした月明かり、スマートフォンのライトだけが香澄たちを照らしている。
憂鬱だ、と思いつつも千秋からの誘いを断ることが出来なかった。
香澄と千秋の女子2人と、和也と直之の男子2人の仲良し4人組だ。
かつての仲良しだった4人組といった方が語弊がないだろう。
高校時代は遠足や運動会などのイベントごとはもちろん、昼食やテスト勉強など何をするにも4人で行動をするくらい毎日一緒に過ごしていたが、千秋は地元で就職し、他の3人は県外の大学や専門学校に進学することになっていったため、卒業後は自然に会うことがなくなってしまった。
しかし、香澄は友人たちと疎遠になってしまうことが、とても居心地が良く感じていた。
無理をしていたわけではない。
実際、高校時代は3人の友人たちのおかげでたくさんの思い出ができて、充実した日々を過ごせていたと思うし、そのことにも感謝をしている。
あの頃の4人はどこまで行っても並行だった。
でも、今は違う。何もかも。

【夜の海】

8/16/2024, 9:51:18 AM